2015年10月3日土曜日

日本におけるシートベルト着用の歴史

日本国内では、1960年代から70年前半にかけて交通事故による死亡者が非常に多く、交通戦争と呼ばれるほどの社会問題となっていた。そのため、交通事故死者数を減らすために様々な努力が行われた。この一つがシートベルトである。このページはシートベルト着用の歴史について書いていく。

1969年にすべての新車には必ずシートベルトを取り付ける法律が、また、1971年に高速道路を走行する時はシートベルトの着用が義務であるという法律が制定された。しかし、この時はまだ一般道でのシートベルトの着用は義務ではなかった。

実際には、義務化された高速道路でもシートベルトの着用する人が少なかった。

1973年2月の新聞の記事にはこう書いてある。
実際にはほとんどの人がシートベルトを着用していない。警視庁交通部は車の乗車中に死亡した130人を調べたところ、シートベルトを着用していたのは一人もおらず、100人についてはシートベルトを着用していれば、死なずに済んだ可能性があった。
[参考 読売新聞夕刊 1973年2月21日]

ドライバーにシートベルトを着用してもらおうと、警察がドライバーにシートベルト着用を呼びかけたり、車会社、保険会社、政府などがシートベルト着用の新聞広告を出していた。しかし、法に強制力がないので、シートベルト着用者はまだ少ない。1983年の秋の警視庁調査では、高速道路では、ドライバーの着用率が28.7%、助手席同乗者が26.2%で、義務化されてない一般道は、ドライバーの着用率が23.4%、助手席同乗者の着用率が16.7%であった。
[参考 読売新聞朝刊 1984年2月6日]

このような状況と、さらに、1980年代また交通事故死亡者が増加したのに相まって、1984年に一般の道路でもシートベルト着用の義務、着用しなかった場合の免許減点の罰則の法律が検討された。総理府の調査でも、高速道路のシートベルト着用の強化賛成派が60.2%で、一般道でも50.7%であった。
[参考 読売新聞朝刊 1984年2月6日]
[参考 読売新聞朝刊 1984年11月26日]

そして、今まで高速のシートベルト着用は努力義務のみであったのが、1985年9月1日に高速道路でドライバーは自分がシートベルト着用していなかったら免許の点数が減点1となった。
[参考 読売新聞夕刊 1985年8月31日]

また、1986年11月1日に一般道でドライバーと助手席同乗者が、高速道路で助手席同乗者がシートベルトを着用していなかったら免許の点数が減点1となった。
[参考 読売新聞朝刊 1986年10月31日]

法律が制定された後は、ほとんどの人が一般道で必ずシートベルトを着用していたが、年月が経つにつれ一般道で必ずシートベルトを着用する人が減少した。総理府の調査で、必ずシートベルトを着用するのは1988年96.5%、1990年71.2%、1992年65.5%となった。若年層が特にシートベルトを着用しておらず、1992年の調査では、20代の人は必ずしも着用しないというのが47.3%であった。
[参考 読売新聞朝刊 1992年9月14日]
この後、なんとかシートベルトの着用率は持ち直した。


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さらに、2005年3月10日には、乗用車の運転席でシートベルトを閉めずに走り出すと警告音を出すように車会社に義務付けした。
[参考 読売新聞朝刊 2005年3月11日]

そして、2008年6月1日には後部座席も妊婦らを除き、シートベルト着用義務化となった。対象は、タクシーや高速バスも含まれる。高速道路で違反をすると運転者に免許減点1で、将来的に一般道でも減点にするつもりである。
[参考 読売新聞朝刊 2008年5月30日]
(ちなみに2006年の警察庁とJAFがの調査では、後部座席でのシートベルト着用率は、一般道で7.5%で、高速道では12.7%であった。)
[参考 読売新聞夕刊 2006年11月19日]



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